93年に初代アイアンコブラが誕生して今年で30年。
そのアイアンコブラと共に誕生し、若干の形状変更はあれどラインナップから消える事なくアイアンコブラの代名詞として数々の名演を世に送り出したまさに名器と呼べるビーター、それがアイアンコブラビーターです。
そんな素晴らしい功績を持つTAMAのコブラビーターですが、今年に入ってラバーのみ廃盤になってしまいましたのでそれを惜しんでBlogを書いております。
コブラビーターはフェルト、ウッド、ラバーの3種類が有りまして、旧アイアンコブラにはデフォルトとして必ずフェルトが標準装備されていました。
私の見解として、コブラビーターはフェルトとウッドがその人気を二分していたと断言します。
その理由として、私を含めた「ニューメタル」の台頭をリアルタイムで経験したツインペダルドラマーのほとんどが所有するツインペダルのビーターをコブラビーターのウッドに変更していたからです。
これはやはりSlipknotのドラマー、ジョーイジョーディソンの影響が強いです。
ドラムマガジンに掲載された初期のジョーイ特集やSlipknotのLIVE DVD「ディザスターピーシズ」を見た当時のメタルキッズ達は、OCDPのドラムセットに取り付けられたアイアンコブラ…そして、ウッドビーターを見て「俺が求めていたサウンド(ビーター)はこれだ!」とみんなこぞって自身のアイアンコブラにウッドビーターを装着させたのです!
フェルトに関してもSLAYERのデイヴロンバードやDREAM THEATERのマイクポートノイ、Fear Factoryのレイモンドヘレーラと言ったこれまたトップメタルドラマー達がこぞって愛用した事で他のメーカーのツインペダルを使っているドラマーでさえビーターだけはコブラビーターを使用するなどメタルドラマーなら必ず一本持っていると言わんばかりの爆発的人気商品でした。(ジャンルは違いますが、元TOTOのサイモンフィリップスもいまだに新型であるパワーストライクコブラビーターではなく、こちらのタイプを使われている事が多いですね)
大人気ヒット商品となったコブラビーターの中で、ドラマーの誰しもが「これいつ使うねん!」と疑問に思い、結局、フェルトとウッドが有能すぎるが故にスポットライトを浴びぬまま今年廃盤になったビーター…それがコブラビーターのラバータイプです。
ドラムマガジン等のレビュー記事でも
「ウッドとフェルトの中間」というとても分かりづらく、パッとしない評価だったが故に購入意欲、所有欲を掻き立てられる事も無く、
ドラゴンフォースをはじめとするスピード重視の高速ツインペダルドラマーやオールラウンド系のドラマーはフェルトを、
ニューメタル系の出音重視、アタック重視のジョーイ信者はウッドを使用するためラバーは何年もの間、不遇の扱いを受けました。
しかし、このビーター…バスドラム以外の用途で使えばめちゃくちゃ活きるビーターなんです。
それがカウベルやブロックを使っての「左足クラーベ」です!
オープン奏法が使えないプレス奏法のみのドラマーの方がウッドやプラスチックビーターを使って左足クラーベに挑戦すると勢い余ってカカッ!とクラーベを2回誤って鳴らしてしまう事(トリガーでいうダブルトリガーのような現象)が多いです。フェルトにすればそういったミスショットが目立つのを若干改善することが出来ますが音量が下がりすぎてアンサンブルの中で音が抜けなくなるので結局、「自分にはクラーベ向いてないなぁ〜」って思って挫折された方が多いんでは無いでしょうか?
これ、コブラビーターのラバーを使えば簡単に改善されます。
ラバーの硬さが絶妙でウッドほど跳ね返りがキツくならないので、ムラが出にくく、クラーベのツブや音量のコントロールがめちゃくちゃしやすいんです。
しかも、ウッドを使った際にブロックとウッドが当たって生じる耳に痛い、不必要な高音の倍音成分がラバーの場合は発生しないのでウッドで左足クラーベするよりも太くシャープな音でクリアに音が飛びます!(最高!)
ここまで聞けば、あなたもこのコブラビーターラバーが欲しくなった事でしょうが残念ながら既に廃盤です。
似たような素材でバスドラムに使用した際にウッド以上の「ベチベチ」サウンドが手に入るというブタジエン製のアキュストライクコブラビーターが有りますが、あれはバスドラムには最高に良いのですが、カウベルやブロックに使った場合、全くと言って良いほど全然音が鳴りませんでした。
昨今、メタルドラマーから絶大な人気を誇るアキュストライクコブラビーターではありますが、アキュストライクコブラビーターが活きるのはあくまで対バスドラムの時のみなのです!
オラシオによって一大ブームになった足クラーベ
もしもあの頃、現代のようにSNSが発達していたならば…
豊富な知識と影響力を持ったドラマーやインフルエンサーによってラバービーターの魅力や具体的な使い道についての紹介がされていたならば…
ラバービーターの売り上げは少なくとも1桁は変わっていたと思いますし、廃盤は防げたかも知れない。
本当に残念でなりません。
今回のような悲しい悲劇が2度と起こらないようにこのBlogを通じて、皆さんとTAMA製品についての情報を共有していきたいと思います。