最近、レッスンでチューニングについて質問を受ける事が増えてきましたので、今回は私のドラムセットで使用しているヘッドと音作りの考え方について紹介したいと思います☆
又、リハーサルスタジオのドラムセットを使用する際に私が注意しているチューニングのポイントについても少し書いてみましたので参考になれば幸いでございます。
私のドラムセットについて
私のドラムセットはTAMAのスタークラシックパフォーマー(後にスタークラシックバーチという名前に変更)をドラムカスタムメーカーのV.C.P.Sでオリジナルデザインにカスタムして貰ったものになります。
サイズ構成は以下の通りです。
TAMA STACLASSIC PERFORMER
“VCPS” custom version
(tom tom)
10×8
12×10
(floor tom)
16×14
(bass drum)
22×16(x2)
(snare drum)
Starclassic Quiltemd Maple 13×7
(cymbals)
Paiste Rude series
シンバルはジョーイジョーディソンやデイヴロンバードの影響でパイステのルードシリーズを長年愛用しています。
別のドラムセットでは別のシリーズを使っていますが、いずれもパイステです。
ドラムセットはバーチですが、スネアのみメイプルを使用。
タムとフロアタムにはクリアエンペラーを使用
私のドラムセットはバーチ材のため、メイプルよりも音像の太い、パワフルなサウンドが得られる半面、メイプルと比べて音の立ち上がりが若干遅いという特徴があります。
ヘッドを音の立ち上がりの早いクリアエンペラーにする事でメイプル材のスネアからタム回しに移った際の音の立ち上がりの誤差の解消と、メイプルのタムでは得られないパワフルな音を両立しています。
葉巻ミュート
バーチ材にはサスティーンの音程が揺れるという特徴もあります。
ガムテープの葉巻ミュートを施すことでバーチ材の音像の太さに、メイプルのようなストレートでクリアな鳴りを加える事が出来ます。(加えるという表現を使ってはいますが、実際は元々あった成分から余分な成分を葉巻ミュートで削る引き算です。)
スネアには13インチ用パワーストローク3(日本未発売)を使用
様々なメーカーのヘッドを試した結果、音の立ち上がり、打感、サスティーンのバランスが良いパワーストローク3を好んで使用しています。
特にオープンリムショット時の濁りの無いクリアなサウンドは素晴らしいの一言。
足し算ではなく、引き算
マイスネアを使用されている方の中には音の立ち上がりが早いヘッドを使用し、とにかくスネアのポテンシャルを最優先に考えている方が居られます。
マイスネアが活き活きと鳴ってくれるのはとても気持ち良く、テンションも上がりますが、そういう時に起こるのが取り残されたタム類です。
リハーサルスタジオのタムには耐久性の面からピンストライプというヘッドが張られているケースが多いです。
このヘッド、甘くて太い音色が得られる半面、音の立ち上がりは遅いです。
スネアに抜けが良く、立ち上がりの早いヘッドを張ると、どうしてもスネアからタムに移動した際に別物感(叩いた時のタッチや音の立ち上がりのタイムラグ)を感じる場合があります。
立ち上がりの早いスネアをソフトに押さえて、タムをオープンにする私の組み合わせであればレッスンでよく質問される「スネアからタムに移動するとタムの音の立ち上がりが遅く感じる」や「タム回しの時にスネアに比べてタムの音が小さく感じる」という問題を解消出来、タイコ1つ1つの音が均一で滑らかに繋がっていきます。(あくまでスネアとタムを均一なボリュームで叩ける技術があった上での内容なので、初心者の方はまず、タムをしっかり鳴らせるように頑張りましょう♪)
スネア単体で音作りをイメージするのではなく、普段利用しているスタジオのドラムセットとのバランスを考慮しながらスネアのヘッドをチョイスすれば、ドラムセット全体のサウンドにまとまりが生まれると思います☆
例
スタジオのドラムセットにピンストライプが張られている場合は、同じく立ち上がりの遅いCSコーテッドなどを張ると、立ち上がりのタイミングの違和感が減ってドラムセットとしての一体感が増すと思います☆
バスドラムはパワーストローク3クリア
バスドラムは定番ヘッドですが、これとレモのバスドラムマッフリングシステム、キックポートを併用して音作りしています。
バスドラム編についてはこちらの記事へ
リハーサルスタジオでの悲劇
レッスンでリハーサルスタジオを使っていると、アタックを稼ぎたいからなのか、むやみやたらと打面ヘッドがダルダルに緩んだ上に、力任せにぶっ叩かれて打面ヘッドがベッコベコになったドラムセットに遭遇する時があります。
それはアタックを稼いでいるのではなく、鳴らない状態のヘッドを「無理やり引っぱたいているだけ」です。
均等に締めることがチューニングの全てではありませんが、シワだらけの不均等な状態のヘッドにスティックのへこみが多くあるというのはチューニング、奏法共に見直してみよう♪というあなたへのサイン。
以下にチューニングと奏法について簡単に書いてみましたので、すぐにヘッドがベッコベコになってしまうという方は是非トライしてみて下さい。
トーンやサスティーンまで変化しますので「音が汚い!耳に痛い!」とメンバーやお客さん、家族やペット(笑)にクレームを言われている方にもオススメです。
綺麗な音を作るためのチューニング
- チューニングはまず打面と裏面の両方のヘッドのピッチを同じに出来るようにするところから始めてみましょう。
- そして、各ボルト付近の音を確認しながら、極端に緩いボルトがないか、締まり過ぎているボルトがないかチェック。
(スティックでの確認が難しいと感じる方はマレットを使ってみると難易度が下がってやりやすいですよ☆) - タムに関しては音程よりも、アタック感や共鳴具合を優先して調整した方が上手くいく場合が多いです。
タイコ同士に嫌な共鳴が出ていないかを意識しながら調整すると自ずとそのドラムセットでのベストな音程が見えてきます。
耳に痛くない、太く綺麗なトーンを出すための奏法
- 打面ヘッドにスティックによるへこみが多く発生する場合はスティックを押さえつける叩き方(サスティーンのイメージで言えば、常に指でシンバルの音を止めて叩いている状態)になっていますのでスティックをリバウンドさせることを意識しましょう。
- リバウンドを感じる方法としては、叩いた時の反動でスティックのチップが天井を向くトレーニング(手首を使って天井に向けるのではなく叩いた時の反動だけでチップが天井を向くように!)をやってみると良いですよ。
最後に
ベッコベコになったヘッドからは良い音はしません。
皆さんが気持ち良く演奏できるようにスタジオの方が新品に替えてくださったヘッドが1日でベッコベコになっていたら・・・悲しいですよね?
いつも使っているスタジオのドラムだからこそ、自分の楽器のように大切に扱いましょう♪
そうすることで、ドラムとの距離がもっと近くなって、良い演奏が出来るようになりますよ☆
他の楽器と違って、スタジオで自分の楽器が使えないドラマーだからこそ、いかにスタジオのドラムを瞬時に自分色に馴染ませていくか、目を背けるのではなく、前向きに考える事もドラマーの楽しみ・・・かも知れません☆
チューニングであったり、奏法についてはこの文章だけで100%伝えられることではないので、気になった方は是非レッスンに来てくださいね☆
ではまた!