この度、私が子供の頃からずっと愛用しているドラムメーカー「TAMA」さんでスネアドラムを作って頂きました。
今回はそのレビューやこだわりポイントをご紹介したいと思います。
まずはスペックのご紹介
品番:BGS137I-PBK
仕様:ブビンガ12PLY
シェル構成:12ply /10.5mm厚
サイズ : 13″x7″
シェルカラー:ピアノブラック(PBK)+アバロンインレイ
パーツカラー:クローム
フープ:MDH13-8 / MDH13S-8(ダイカストフープ)
ラグ:MSL-SCT
ストレイナー:MUS80A/B
スナッピー:PURESOUND CPS1324
表ヘッド:REMOパワーストローク3コーテッド
裏ヘッド:REMOアンバサダースネアサイド
今回こだわった特注ポイントについて
品番:BGS137I-PBK
このスネアのためだけに用意された品番です。
Google検索してみましたが、海外品の中にもこの品番は存在しませんでした。
12プライの超厚胴シェル!
ちなみに過去にTAMAで生産されていたSLPのGブビンガの厚みは12ply/10mmです。
当初は愛用しているキルテッドメイプルと同じ13plyでの作製をお願いしたところ、Gブビンガで得た経験と今回のサイズ構成を考慮し、「Gブビンガと同じ12plyにした上で、さらにGブビンガよりも0.5mm厚くする」という提案をTAMAさんから頂き、採用しました。
これによって得られた効果については後述のキルテッドメイプルとの比較をご覧下さい。
0.5mmというコンマレベルの厚みにさえこだわる。
これぞ、日本のものづくりです。
13×7インチという特注サイズ
通常、スタークラシックブビンガシリーズには13×7インチというラインナップはございません。
このサイズはスタークラシックシリーズでは過去にスタークラシックキルテッドメイプル、スタークラシックGメイプルという2シリーズにのみラインナップされたサイズで、ブビンガに採用されたのはTAMAでは初となります。
通常品には存在しない大きなアバロンインレイ
左が特注スネア、左が以前まで使用していたキルテッドメイプル。
アバロンインレイは通常のサイズには無い、大きなインレイを埋め込んで頂きました。(こちらの方がインパクトがあってカッコいいですよね!)
この太く大きなアバロンインレイはかつて、kornのデイヴィッドシルヴェリアモデル用として特別に用意されたインレイになります。
デイヴィッドモデル廃盤に伴い、この太いインレイが使用されているスネアドラムは現在のラインナップには存在しません。
TAMAさんからインレイの太さの参考資料として頂いたデイヴィッドシルヴェリアモデルの画像
母体となったキルテッドメイプルについて
私は10代の頃からTAMAのキルテッドメイプルを愛用していました。
13plyという厚胴からもたらされる縦に抜ける美しい出音が特徴の13インチのスネアです。
私が若い頃はスリップノットやリンプビズキット等のラウド系全盛期で、周りのドラマーはみんなオレンジカウンティ等の爆音系スネアを愛用していました。
オレンジカウンティ(O.C.D.P)やキタノのスネアを使っているドラマーから「そのスネアは音も大きいけど、爆音系スネアによくある下品な部分が全くない。凄く綺麗な音で鳴っている。俺のスネアと交換して欲しい」と頼まれる事も多かったです。
もう、このスネア無しでは生きていけないくらいに気に入っていたので、もしもの時のために同じスペックで色違いの物(赤)を購入。
(上記インレイ比較画像に映っている赤のキルテッドメイプル)
20代になってからもイベント等で多くのプロドラマーの方から「スネアの音が凄く綺麗だね!」と大絶賛して頂きました。
このスネアが、何故プロアマ問わず大絶賛されるのか…
おそらく13plyという絶妙なプライ数による恩恵が大きかったように感じます。
スペックだけならオレンジカウンティの30plyや40plyという超厚胴の方が凄く感じますが、オレンジカウンティを所有しているドラマーからは
「このぶ厚さにパーツが耐えきれなくて、ラグが直ぐに壊れる」
「ラウド系以外のジャンルでは音的に使えない…」
「通常のスネアよりも湿気の影響を受けやすいので雨の日は全く鳴らない」
などの苦労話も良く聞いていました。
私のスネアが20年近くトラブル知らずでどんなジャンルの現場でも活躍していることからも、TAMAの技術レベルの高さが分かると思います。
このTAMAの名器キルテッドメイプルは、残念ながら既に生産完了品の為、材をブビンガに変更し、デザインやスペックの細部にまでこだわった特注品という形で今回作って頂く事になりました。
キルテッドメイプルとの比較
12plyの特注ブビンガスネアと母体となった13plyキルテッドメイプルとの比較ですが、今までのキルテッドメイプルの使い勝手のまま、音の太さ、低音がアップデートされたような印象です。
13×7インチ特有の立ち上がりのシャープさもありつつ、ブビンガのパワフルな低音域が加味され、ローピッチ、ミドルピッチ、ハイピッチ、超ハイピッチ…どんなピッチでもハマってしまうとんでもないスネアに仕上がりました。
材のプライ数をキルテッドメイプルよりも1ply少なくする事で、「メイプルに比べて、音の立ち上がりが遅くなるのでは?」と心配していた材の変更によるストレスは全くありませんでした。
実はこのスネア、完成した物をさらにACT折井さんのもとで、REMOとピュアサウンドに付け替えてから納品してもらったのですが、そのあまりの音の良さに興奮した折井さんが深夜であるにも関わらず連絡をして来られた事もとても印象深かったです。
日々、あらゆるメーカーのスネアに触れている折井さんがあそこまで興奮するのは只事ではないと思いました。
メイプルの音に慣れていた私は、ブビンガでスネアを作る事に少々不安でしたが、折井さんの興奮具合から最高のスネアが完成した事を確信しました。
実際、手元に届いた物は「生涯の相棒」となる芸術品でした。
最後に
自分がスネアドラムに求める要望にTAMAさんからの提案を加え、ついに念願のMYスネアが完成しました。
以前まで使っていたキルテッドメイプルに不満は無かったのですが、生涯の相棒となるこのスネアドラムが完成した事で、さらに自分好みのサウンド、ルックスに仕上がり、大変満足しています。
これからはこのスネアと共に、ドラマーとしての人生を歩んでいきたいと思います。
myスネア購入を検討されている方の参考に…なるかは分かりませんが、私のmyスネアのお話でした。
ではまた。