〜現場目線で考える〜自分に合ったペダルの調整方法とは?

ペダルの調整方法について、質問を頂くことが増えて参りましたので私の失敗談…じゃなくて昔話を交えて少しお話ししたいと思います。

多分このBlogを読まれている方は地元のライブハウスで30分くらいのLIVEをこなされていたり、毎回2時間〜4時間のバンド練習をされているドラマーさんかと思います。

10代、20代前半の頃の私もそうでした。

なので当時の私にとってその本番30分や練習4時間に合わせたペース配分といいますか…

簡単に言うと10代の頃の私はドラムマガジンでMETALLICAのラーズウルリッヒやスリップノットのジョーイジョーディソンがスプリングをかなり強くしているという記事を読み、単純過ぎる性格ゆえ「これだ!!」と思って見よう見まねで自分のペダルのスプリングの強さをMAXにして汗だくになりながらも気合と根性だけでペダルを踏んでおりました。(4時間後には待合室のベンチで明日のジョー状態でグッタリしていた事は言うまでも無い…苦笑)

若い頃の私はとにかくツーバスが速く踏めるようになりたかったのでジョーイみたいにスプリングを強くすれば速く踏めるはずだと安易に考えていたんですね。

ただ、そうするとジャズセッションなどでゆるゆるのペダルを踏むといつも通りの演奏が出来なかったりなどの違和感を感じていましたし、そもそもお仕事としてドラムをやっていくなら一般のお仕事と同じで毎日8時間以上やれないと駄目だと思っていたので8時間以上のドラム練習を続けた際に納得のいくクオリティーを維持出来ない自分の実力不足も痛感しておりました。

将来的にオールジャンルをこなせるドラマーになりたかったこと、ドラムに携わるお仕事をしたいと思っていた私にとっては一度ゼロからペダルの設定についてやり直す必要があると感じ、かつて孝三先生にペダルの調整について相談した事があります。

その際に

「空腹時やお腹を壊している状態だとしても24時間いつでも同じ音量、音質、演奏クオリティーで踏み続けられる設定にする」

「前半勢いがあっても、後半の曲でキックに元気がなくなるようではあかん。逆にアンコールのここぞという時にわざと大きな音でキックを踏んで会場に居るお客さんを『コイツまだこんな余力あったんや!』って驚かせる方がドラマーとしてカッコええで〜!」

と貴重なアドバイスを頂きました。

かつてチャゲアスなどのBIGアーティストのリハーサルで日付が変わるまで飲まず食わずでリハーサルするという事もあったそうで、そんな状況下において、もしも「足が疲れて踏めない」なんて事が起きたら仕事にならないわけですよね。

現在、日本でプロとして活躍されているドラマーの方で、スプリングが比較的緩い方が多いのはこういった背景も関係しているのかなぁと思います。

そんなありがたいお話を聞いて20代前半の私は「4時間程度の練習で疲れを感じているようでは駄目だ!!」と思い、それまでガッチガチに強くしていたスプリングのテンションを緩めるなど色々とペダルの調整を変更し、長時間のリハーサルやコンサートでも自分自身が楽に、自然体で演奏出来るようなペダルに調整し直しました。

それからは以前まで無意識にスプリングに負けないよう踏みこむことに使っていた脳の意識を使わなくて済むようになり、以前よりも初見の譜面に対し、一音一音に全神経を注ぎ、落ち着いて音楽的な対応が出来るようになりました。

身体が以前と比べて全く疲れなくなったので今まで意識を向けれていなかった演奏中の呼吸のタイミング、キックでのピアニッシモからフォルテッシモまでのダイナミクスコントロール等のニュアンスなどなど音楽的な演奏を行う上で大切な沢山の要素に注意深く、集中して意識を向けられるようになって同じ4時間の練習であっても以前よりも質の高い練習成果が得られるようになった感動を鮮明に覚えています。

そもそも疲れなくなった事で4時間以上のドラム練習が快適に出来るようになり、自然と練習時間が4時間から8時間に増えたのも大きいですね☆

単純に経験値が2倍になりますので♪(ありがたい事に最近はドラムレッスンの予約がもりもり過ぎて自分自身の練習時間が全く取れてないのが悩みではありますが…)

結果、私の場合はスプリングが強かった頃よりもツーバスが速く綺麗に踏めるようになりました(笑)

余談ですが、スティーヴガッドさんもスプリング極限までゆるゆるだそうです。

ガッドがここぞという時にぶちかますキックのどフォルテはゆるゆるのスプリングから生まれていたとは…

もちろん東原力哉さんのようにスプリングガッチガチのプロも居られますので、単純にスプリングゆるゆるが良いというわけではなくて、

自分がドラマーとして仕事をこなす上で

・どんなに体調が悪くても毎日最低8時間以上同じコンディションで演奏出来るペダルの設定

・LIVE本番でキックの音量が右肩下がりに落ちていくのではなく、右肩上がりにコントロール出来るペダルの設定

を満たせているかが重要だと私は考えています。

昔の私のようにスプリングが強い状態に違和感というか「頑張ろう!」って気持ちで踏まれている方は敢えてスプリングを緩めるなどの逆の調整を試してみると案外新しい発見があるかも知れませんね。

そんな事を書きながら、実は最近、所有しているアイアンコブラのスプリングを久しぶりに強めて「これはこれで良いなぁ〜」と遊んでいます。

一度緩いスプリングになれたら、逆にガッチガチも踏めるようになるというペダルの七不思議!笑

ペダル調整で悩まれているそこのアナタ!

あまり深刻に悩み過ぎず、肩の力を抜いて、楽しみながらペダルとお友達になりましょう♪

それでは今日も楽しい1日をお過ごし下さい☆

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